Yan, C.H., Faraji, F., Prajapati, D.P., Ostrander, B.T. and DeConde, A.S. (2020), Self‐reported olfactory loss associates with outpatient clinical course in Covid‐19. Int Forum Allergy Rhinol.. Accepted Author Manuscript. doi:10.1002/alr.22592

Yan, C.H., Faraji, F., Prajapati, D.P., Ostrander, B.T. and DeConde, A.S. (2020), Self‐reported olfactory loss associates with outpatient clinical course in Covid‐19. Int Forum Allergy Rhinol.. Accepted Author Manuscript. doi:10.1002/alr.22592

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/alr.22592

(注)筆者は医学の専門家ではない。

Abstract(抜粋)

  • 疾患初期にCovid-19患者の重症化を予測することは、医療介入(リソース)の効率的な割り当てに役立ちます。自己申告による嗅覚障害はCovid-19の特徴として指摘されており、この重要な予測因子となる可能性があります
  • サンディエゴ病院システムにて、Covid-19感染患者を対象にした。2020年3月3日から4月8日までの間のCovid-19疾患陽性だった合計169人の患者。
  • 回顧的レビューと、嗅覚・味覚機能と臨床疾患経過の評価との間の統計的な検証を行った(主観的および客観的パラメーター;嗅覚と味覚の症状の有無、加齢、糖尿病、呼吸不全)。単変量および多変量ロジスティック回帰を実施した。

Memo

「UC San Diego Healthの研究者は、感染症の症状として臭いの喪失を報告したCOVID-19患者は、無嗅覚症を報告しない患者よりもコロナウイルスで入院する可能性が10倍少ない。嗅覚障害が生じることをCOVID-19疾患において入院を必要とする可能性のある患者を判断するのに役立つ可能性のある早期の指標だと報告した。調査結果は、2020年4月24日のジャーナルInternational Journal of Allergy&Rhinologyでオンラインで公開された…」としてオンラインニュースに取り上げられている論文である

https://neurosciencenews.com/smell-loss-mild-coronavirus-16261/

「嗅覚の喪失は重症化しないで済む!バイオマーカーなのか?追試を期待しています」等とSNSでも注目されています。

嗅覚喪失について

その他の一次的または恒久的に、嗅覚が機能低下または喪失する原因となることがある因子

  • ストレス
  • 交通事故などの脳外傷
  • アルツハイマー
  • 抑うつ状態

嗅覚のメカニズム

  1. 香気物質
      ↓
  2. 香気物質~受容体相互作用
      ↓
  3. 嗅覚神経細胞(ORNs)信号
      ↓
  4. 刺激情報の統合
      ↓
  5. 脳内嗅覚地図との照合
      ↓
  6. 知覚・認知

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%97%85%E7%90%83

Retronasal Aroma

味覚と考えられているものの実際には嗅覚がかなり貢献している現象。「食品を直接鼻で嗅いだときに感じられる香りと、飲食中にのどから鼻を抜けて感じられる香りであり、前者はOrthonasal Aroma、後者はRetronasal Aromaと呼ばれています。飲食中に感じる食品の香りは主にRetronasal Aroma」です。

https://www.ogawa.net/study/13_01_01.html

Covid-19感染時に嗅覚障害が出たほうが軽傷で済んでいるのはなぜなのか

(注)ここから先は自分の想像である。

Covid-19ウィルス感染により、ウィルスが増殖する部位についての報告がすでに出ている。嗅粘膜がある部位に増殖することが知られ、PCR検体の採取も鼻腔奥の嗅粘膜付近から採取される。

https://www.nature.com/articles/s41591-020-0868-6

Covid-19感染時に免疫系の応答の速さ・強さには個体差(個人差)があるようである。

個体の免疫系が強く早く応答したほうが、ウィルスの排除は早く行われると考えられる。ただし、ウィルス感染した器官への免疫応答が大きくなり(ここら辺医学的な用語の使い方になっておらず、不正確ですが)、この際に一次的な嗅覚機能のマヒが起こるのではないだろうか?

なお、味覚と嗅覚の喪失とされているが、嗅覚の喪失が、味覚の喪失の症状とされている可能性が結構あるのではないか?

嗅覚のマヒの原因はアルツハイマーなどの脳機能によるものとは異なるメカニズムなのではないか?

以上のように想像してみたのでメモしておく。

マルチコンフォメーションからのΔG見積を行いたい(非時間発展)

マルチコンフォメーションからのΔG見積を行いたい(非時間発展)

  • 今のところの調べた結果 (200225)
  • 注意をしなくてはいけない概念;自由エネルギー(ΔG)地形?エンタルピー地形(ΔH)? ポテンシャルマップ?

QM(FMO) * 各コンフォメーション

ポテンシャル(U)地形※

エンタルピー(ΔH)地形※
※実際には計算対象が高次元過ぎて、計算困難なのでパス上を計算する

MC/FEP、マルコフ状態モデル(MSM = Markov State Models )
マルコフ遷移行列の取得が必要

自由エネルギー(ΔG)地形? = QMで真に得たいもの

遷移パスウェイ

MSM

マルコフ遷移モデルとは?遷移確率行列とは?

【マルコフ連鎖】3×3遷移確率行列の計算例(卑近な例)

自由エネルギーの定義をおさらい

Four quantities called "thermodynamic potentials" are useful in the chemical thermodynamics of reactions and non-cyclic processes. They are

  • U(internal energy)
  • H(enthalpy)
  • F(Helmholtz free energy)
  • G(Gibbs free energy)
(potentials) - -TS
- U(internal energy) F(Helmholtz free energy)
+PV H(enthalpy) G(Gibbs free energy)

http://hyperphysics.phy-astr.gsu.edu/hbase/thermo/helmholtz.html

Olfactory co‐receptor (ORco) is involved in host recognition and oviposition in Ophraella communa (Coleoptera: Chrysomelidae)C Ma, S Cui, Q Bai, Z Tian, Y Zhang, G Chen, X Gao… – Insect Molecular Biology, 2020

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/imb.12643

Abstract

一般的なブタクサ(Ambrosia artemisiifolia)は、世界のほとんどの温帯地域に蔓延している悪名高い侵入雑草です。ブタクサハムシ(Ophraella communa)は効果的な防除剤になると考えられています。昆虫の嗅覚系は野生での宿主探索にとって非常に重要です。私たちの知る限りでは、このブタクサハムシにおける嗅覚認識の根底にある分子メカニズムに関する報告はありません。

この研究では、O.communaのニオイ受容体コレセプターを特定し「OcomORco」と名付けました。リアルタイム定量PCR(qRT-PCR)により、コントロールと比較して、RNA干渉(RNAi)を実行すると、OcomORcoの発現をオスのブタクサハムシで89%、メスのブタクサハムシで90%大幅に減少させることを示しました。 Electroantennogramアッセイ(EAG)は、A.artemisiifoliaの4つの揮発性物質に対する雄と雌の両方のブタクサハムシの触角応答が大幅に減少したことを示しました。行動テストで観察を行うと、RNAiされたオスまたはメスのブタクサハムシは、植物の葉に対する好みを失いました。さらに、(RNAiによる)OcomORcoの発現の混乱は、産卵の減少をもたらしたが、コントロールとノックダウン雌の間で幼虫の孵化率に違いはなかった。私たちは、OcomORcoがO.communaの嗅覚と宿主探索に重要な役割を果たしており、間接的に産卵に関与していることを示しました。

Memo

  • リアルタイム定量PCR(qRT-PCR)=Real‐time quantitative PCR (qRT‐PCR)
  • RNA interference (RNAi) =RNAi(RNA interferenceの略、日本語でRNA干渉ともいう)は、二本鎖RNAと相補的な塩基配列を持つmRNAが分解される現象。RNAi法は、この現象を利用して人工的に二本鎖RNAを導入することにより、任意の遺伝子の発現を抑制する手法[1]。アンチセンスRNA法やコサプレッションもRNAiの一形態と考えられる。https://ja.wikipedia.org/wiki/RNAi
  • ブタクサハムシ(豚草葉虫:学名 Ophraella communa LeSage, 1986[1]) はハムシ科に分類される北米原産の甲虫の一種。東アジアの一部(日本、台湾、中国)や欧州の一部(イタリア、スイス)では外来種として野生化している。名前のとおり幼虫・成虫ともに外来植物のブタクサやオオブタクサを主食としてそれらを枯死させることもある。このためブタクサ類の外来種問題に取り組む各国では生物農薬として期待されているが、ヒマワリなどの栽培植物も食べることもあるため、安全な利用に向けて研究が行われている。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%8F%E3%83%A0%E3%82%B7

RNA干渉(RNAi)を実行して以下を確認

  • OcomORcoの発現をオス・メスで確認
  • Electroantennogramアッセイ(EAG)での触角応答が減少
  • 行動テストで、植物の葉に対する嗜好性の喪失を確認
  • 産卵の減少、幼虫の孵化率に違いはなし

Neural network features distinguish chemosensory stimuli in Caenorhabditis elegans JJ How, S Navlakha, SH Chalasani – bioRxiv, 2020

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.02.18.955245v1.full

Abstract

マイクロ流体デバイスを使用して、Caenorhabditis elegansの小さな神経系を使用して、誘引性または忌避的であることが知られている化学的刺激に暴露する間、40を超えるニューロンの神経活動の変化を監視し、さまざまな化学感覚刺激に関連するニューラルネットワークアクテビティを定義しました。

特異的な化学刺激
- 忌避剤がネットワーク全体の平均神経活動を高めるきっかけとなる
- 塩味が神経の変動性を高める

一般的な化学刺激
- 対照的に、ニューロン間の相互作用のパターンをキャプチャするグラフ理論の機能は、神経活動の測定値よりも刺激同一性のデコードに適している
- グラフ理論機能・神経活動機能をもとにした、訓練された単純な機械学習分類器が、刺激の同一性を正確に予測できることを示します。

Memo

From: "Google Scholar アラート" scholaralerts-noreply@google.com
Date: Wed, Feb 26, 2020 at 8:16 AM +0900

ハエとマウスの両方の嗅覚・味覚情報は、組み合わせコーディングによる神経活動の空間パターンで"知覚"されていると考えられる[9–11]。
化学刺激の末梢・初期皮質領域でのエンコードの理解は進んでいるが、その処理と高次脳中枢における表現はあまり理解されていません。
線虫C. elegansは、化学的および電気的シナプス[12、13]によって接続されたちょうど302のニューロンからなる神経系(脳)を持つことがわかっており、ネットワークの大部分にわたる神経活動を記録するのに理想的である

これまでのC. elegansの全脳イメージングデータ分析例、主成分分析(PCA)
- 神経活動が低次元空間にある[22–24]
- 前進、逆転、回転などの移動コマンドを表す可能性があるいくつかのグローバルな状態で存在する可能性[23]
- 睡眠や飢餓などの生理学的および行動状態に関連する低次元の神経活動パターン[25]

問題点
- ニューロンのラベリング;ニューロンが個体間で一意に識別できるようにニューロンのラベルを持つことが必要。ほとんどのモデルシステム(たとえば、マウスの皮質ニューロンからの記録)では、そのようなニューロン固有のラベルは存在しない。
- 数理アルゴリズム上の問題;神経ダイナミクスには以前考えられていたよりも高い次元があるという証拠が見つかり、運転行動における多くのニューロンの関与を示唆

本研究のアイディア
- 刺激のプロパティを識別に、刺激の開始またはオフセット中に記録された神経相互作用のグラフ理論的特徴を使用する
- 生態学的に関連する2つの刺激特性を検討;1)アイデンティティ(ジアセチル、2-ノナノン、ベンズアルデヒド、イソアミルアルコール、またはNaCl)および2)バレンス(誘引性または忌避剤)

グラフ理論とは
「グラフ理論(グラフりろん、英: Graph theory、図論)は、ノード(節点・頂点)の集合とエッジ(枝・辺)の集合で構成されるグラフに関する数学の理論である。 グラフ(データ構造)などの応用」物理的、生物学的、社会的、および情報システムにおける構造と機能の関係を明らかにするために使用されてきました[27–29]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E7%90%86%E8%AB%96
https://mathtrain.jp/graph

この論文での主張
- 機械学習によるグラフの相同性理解
- 2つの刺激特性(化学物質の誘引性~忌避性とアイデンティティ(化学構造))が、ネットワーク全体の神経活動にどのように影響するかを計算した。
- 活動統計とグラフ理論的機能が刺激特性を区別することに成功したことを観察し、機械学習分類器を使用してこれらの結果を検証した。
- 最後に、励起のパターンが線虫の脳内の化学物質の表現を定義することを示唆して、化学的同一性が抑制性相互作用とは対照的に、推定的に興奮性で構成されるサブネットワークを主に変更したことを発見しました。

メモ;
- 匂いのラベリング問題(より広くは知覚・識別メカニズム)を考えようとしている論文
- 嗅覚の問題のみに限定をすると、脊椎動物にも昆虫にも(ある程度の)後天的な機能の獲得があることに興味がもたれる。
- 線虫において匂い知覚を後天的に獲得するのだろうか?少し気になるところ。
- 化学刺激のケモインフォマティックスとの関係の解析は?

‘Optimal Dimensionality Reduction of Multistate Kinetic and Markov-State Models’, Gerhard Hummer and Attila Szabo, The Journal of Physical Chemistry B 2015 119 (29), 9029-9037, DOI: 10.1021/jp508375q



https://pubs.acs.org/action/showCitFormats?doi=10.1021%2Fjp508375q&href=/doi/10.1021%2Fjp508375q

Abstract

(機械翻訳)マイクロステートを組み合わせて(クラスタリングまたは集約して)形成されたスーパーステートのダイナミクスを最適に記述するレートおよび遷移行列を取得するための体系的な手順を開発します。これらの縮小された動的モデルは、フルシステムおよび集約システムのスーパーステートの時間依存の占有数相関関数を照合することにより構築されます。射影演算子形式を使用することにより、同一の結果が得られます。縮小された動的モデルは、完全な非マルコフ式で常に正確です。おおよそのマルコフの制限では、正確な自動緩和時間と相互緩和時間をもたらす、減少率またはマルコフ遷移行列の簡単な分析式を導き出します。これらの縮小マルコフモデルは、短時間と長時間のダイナミクスのマッチングの最適なバランスを取ります。また、マイクロステートの集約を通じて最適なスーパーステートを構築する階層手順でこのアプローチを使用する方法についても説明します。一般的な簡約行列理論の結果は、単純なモデルシステムへの適用と、以前に原子論的分子動力学シミュレーションから導出されたペプチドフォールディングのより複雑なマスター方程式モデルで示されています。削減されたモデルは、完全なシステムのダイナミクスを忠実にキャプチャし、一般的な局所平衡近似を大幅に改善することがわかります。

Memo

"PyEMMAは、分子動力学の推定、検証、分析、および分子動力学(MD)データからの他の動力学および熱力学モデルのためのPythonライブラリです。MSM = Markov State Models 関連で実装であり……80は、与えられた粗いセットの定義に対して、モデルの高速緩和動作と低速緩和動作のバランスをとるスキームを提案しています( @ http://dx.doi.org/10.1021/acs.jctc.5b00743 J. Chem. Theory Comput. , 11, 5525-5542 (Web)October 14, 2015)" における(80)

Terms ;
マイクロステート
スーパーステート
マルコフモデル~非マルコフ性

追記中 200410

‘Putative ligand binding sites of two functionally characterized bark beetle odorant receptors’, Jothi K. Yuvaraj, Rebecca E. Roberts, Yonathan Sonntag, Xiaoqing Hou, Ewald Grosse-Wilde, Aleš Machara, Bill S. Hansson, Urban Johanson, Christer Löfstedt, Martin N. Andersson bioRxiv 2020.03.07.980797


doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.07.980797

Abstract

キクイムシの行動は、大部分は嗅覚を介して行われます。したがって、ニオイ受容体(OR)を標的とすることで、害虫駆除ができる可能性があります。このようなアプローチには、受容体の機能とリガンドとの相互作用に関する情報が必要です。したがって、タイリクヤツバキクイムシイムシIps typographusの触角トランスクリプトームから73のORを帰属、2つのOR(ItypOR46およびItypOR49)の 機能的特性解析を報告します。ホモロジーモデリングと分子ドッキングを使用して、それらの結合部位を予測します。イプセノールによる活性化におけるItypOR46の残基Tyr84およびThr205の重要性は実験的に示唆されており、水素結合はフェロモン結合の鍵となるようです。今回キャラクタリゼーションされたORの生物学的重要性により、それらは害虫駆除の主要なターゲットとして位置付けられ、バイオセンサーとしてキクイムシの侵入を検出するために使用されます。

Memo

From: "Google Scholar アラート" scholaralerts-noreply@google.com
Date: Thu, Mar 12, 2020 at 11:52 PM +0900

(考えられることを大体している良い論文。きちんと最後まで読む。)

Bark beetle = キクイムシ;キクイムシとは、甲虫目キクイムシ科に属する昆虫の総称。ゾウムシ科・キクイムシ亜科とする場合もある。

bark beetle, Ips typographus = タイリクヤツバキクイムシ (European spruce bark beetle)
ゾウムシ亜科Scolytinaeのキクイムシの一種、キクイムシであり、ヨーロッパから小アジアおよびアフリカの一部の地域に生息しています。 ウィキペディア(英語)
学名: Ips typographus

タイリクヤツバキクイムシイムシIps typographusの73のOR
触角トランスクリプトームから73のORを帰属、2つのOR(ItypOR46およびItypOR49)の 機能的特性解析を報告(機能まで帰属できたORはやはり少ない、手法を確認)
ホモロジーモデリングと分子ドッキングを使用して、それらの結合部位を予測します。

昆虫ORは、共役脊椎動物ORはGタンパク質とは無関係6、7
ORとOrcoは一緒になって、ヘテロ四量体受容体complex12を形成することが示唆
ORの分子的および機能的進化ならびにリガンド-OR相互作用の現在の知識は限られています

加えて昆虫ORの機能的特徴付けは、蛾32–34、ハエおよび蚊に偏っています35,36。対照的に、Coleoptera – /Metazoa–は、研究が不十分なグループのままであり、研究例はMegacyllene caryaeに特徴付けられた3つのフェロモン受容体しかありません37

この昆虫種のケミカルコミュニケーション
キクイムシの宿主木への攻撃は、凝集フェロモン(cis-verbenolおよび2-methyl-3-buten-2-ol)を介して調整され、両方の性を木に引き付けます20。他の化合物は、後の攻撃段階21でキクイムシから放出されます。これには、ベルベノン、イプセノール、イプジエノールが含まれ、それらのいくつかは、凝集フェロモンへの誘引を減らします22。

注目するべき実験手法
異種発現のための2つのシステム(ItypOrcoとORは、機能的な特性評価のために、誘導可能なTREx / HEK293細胞にトランスフェクト)
ORキャラクタリゼーションのための68種類の化合物のパネル
2つのOR(ItypOR46とItypOR49)におけるリガンド結合のメカニズムを理解するために、クライオEM構造解析(cryo-EM structure of Orco12)を利用して、ホモロジーモデリングとリガンドドッキングシミュレーションを実行

Fig.1 ; キクイムシ匂い受容体(OR)の最尤ツリー(RaXMLを使用して構築され、Orco系統に根ざしたアミノ酸配列のMAFFTアラインメントに基づく)

Butterwick, J.A., del Mármol, J., Kim, K.H. et al. Cryo-EM structure of the insect olfactory receptor Orco. Nature 560, 447–452 (2018).



https://doi.org/10.1038/s41586-018-0420-8

Abstract

(機械翻訳) 嗅覚システムは、環境内のさまざまな化学物質を認識して区別する必要があります。このような多様性に対処するために、昆虫は、高度に保存されたコレセプター(Orco)と化学的特異性を与える発散型ニオイ受容体(OR)で構成される、ニオイ依存性イオンチャネルのファミリーを進化させました。ここでは、3.5Å解像度で寄生イチジクハチApocrypta bakeriからOrcoホモマーの単一粒子低温電子顕微鏡構造を提示し、この受容体ファミリーへの構造的洞察を提供します。 Orcoは、細胞質に通じる4つの側方導管に分岐する中央の孔の周りに対称的に配置された4つのサブユニットを持つ、新しいチャネルアーキテクチャを備えています。 Orcoテトラマーは、膜内のサブユニット間の相互作用がほとんどなく、小さな細胞質アンカードメインによって結合されています。 OR間の最小配列保存は、主に細孔とアンカードメインにマッピングされ、この受容体ファミリーのアーキテクチャがその驚くべき配列多様性に対応し、匂い受容調整の進化を促進する方法に光を当てます。

Memo

Putative ligand binding sites of two functionally characterized bark beetle odorant receptors
JK Yuvaraj, RE Roberts, Y Sonntag, X Hou… - bioRxiv, 2020 における「昆虫ORは、共役脊椎動物ORはGタンパク質とは無関係6、7 … ORとOrcoは一緒になって、ヘテロ四量体受容体complex12を形成することが示唆 … 2つのOR(ItypOR46とItypOR49)におけるリガンド結合のメカニズムを理解するために、クライオEM構造解析(cryo-EM structure of Orco12)を利用して、ホモロジーモデリングとリガンドドッキングシミュレーションを実行」における12

過去には昆虫のORの構造はOrcoを伴う代謝型、ヘテロ2量体型のイオンチャンネル等が提案されていた。これはヘテロ四量体受容体complex構造の論拠。この構造をもとにしたホモロジーモデリングと分子ドッキングを使用して、それらの結合部位予測の研究が行われる。OBPの寄与とダイナミズムのシュミレーションは関心のあるところ。

Hopf, T., Morinaga, S., Ihara, S. et al. Amino acid coevolution reveals three-dimensional structure and functional domains of insect odorant receptors. Nat Commun 6, 6077 (2015).



https://doi.org/10.1038/ncomms7077

Abstract

(機械翻訳)昆虫の嗅覚受容体(OR)は、環境の化学信号をニューロンの電気的活動に変換する巨大なタンパク質ファミリーを構成します。これらのheptahelical受容体は、リガンド依存性イオンチャネルとして機能するため、および/またはGタンパク質共役受容体(GPCR)として代謝調節的に作用することが提案されています。それらのシグナル伝達機構の解明は、三次構造情報の欠如と他のタンパク質との一次配列の類似性によって妨げられてきました。これらのOR全体でアミノ酸進化的共変動を使用して、残基ペアの構造的近接性に対する制約を定義します。これにより、3次元モデルの新規生成が可能になります。私たちの分析の妥当性は、タンパク質の非常に制約された領域における機能的に重要な残基の位置によってサポートされています。重要なことに、昆虫またはモデルは、これらの受容体ファミリーの構造的な無関係性を確立する、標準的なGPCRのそれとは異なる膜貫通ドメインパッキング配置を示します。進化のカップリングとモデルは、匂いの結合とイオン伝導ドメインを予測し、構造-活動の理論的分析のテンプレートを提供します。

Memo

Putative ligand binding sites of two functionally characterized bark beetle odorant receptors
JK Yuvaraj, RE Roberts, Y Sonntag, X Hou… - bioRxiv, 2020 における「2つのOR(ItypOR46とItypOR49)におけるリガンド結合のメカニズムを理解するために、クライオEM構造解析(cryo-EM structure of Orco12)を利用して、ホモロジーモデリングとリガンドドッキングシミュレーションを実行 … ItypOR46およびItypOR49のモデルにより、細胞外側に露出した推定の結合裂が明らかになりました。さまざまなORでリガンド特異性に影響することが示唆されているいくつかの残基(44で確認)がこの裂け目を覆い(図5)、ItypOR46とItypOR49の間に有意差が観察され、これがリガンド特異性の相違を説明している可能性があります …(変異発現実験の解析において)… OR応答に影響を与えることが示されている残基のほとんどは、これら2つのサイトまたはその付近に集中しています(44で概説)」における44

ただしこの論文は'Butterwick, J.A., del Mármol, J., Kim, K.H. et al. Cryo-EM structure of the insect olfactory receptor Orco. Nature 560, 447–452 (2018). https://doi.org/10.1038/s41586-018-0420-8'の前なので、Cryo-EMでの4量体構造解析後の検討がないかは確認したほうが良い

Pande VS, Beauchamp K, Bowman GR. Everything you wanted to know about Markov State Models but were afraid to ask. Methods. 2010;52(1):99–105. doi:10.1016/j.ymeth.2010.06.002


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2933958/

Abstract

タンパク質の折り畳みのシミュレーションは、(シミュレーションで可能な時間スケールよりも)長いタイムスケールでの難しさと、得られたシミュレーションデータから洞察することの難しさのために、長年にわたって困難な問題でした。マルコフ状態モデル(MSM)は、これら両方の課題に取り組むための手段を提供し、実験的に関連するタイムスケール、統計的有意性、および人間が理解しやすい粗い表現でシミュレーションを行います。ここでは、MSMを専門家以外の対象者とともにレビューします。 MSMの動機、方法、注意点、および方法の用途の最近のハイライトを紹介します。最後に単一軌跡アプローチからより包括的な統計的アプローチへと、シミュレーションにおけるパラダイムシフトしていることとの関係を議論することで締めくくります。

Memo

Keys ; MSM, 分子動力学シミュレーション, タンパク質の折り畳み, シミュレーション

MSM = Markov State Models ; 分子動力学などシミュレーションに基づくプロセスの研究をマルコフ遷移モデルとして解釈する動力学モデル

十分に詳細なシミュレーションを使用して、ミリ秒~のタイムスケールなどの実験的に関連するタイムスケールで解析したい。マルコフ状態モデル(MSM)は、この課題に対処するスキームとして提案されています。本レビューは非専門家向けのMSM構築の基本的な「方法」ガイドである 2010

  • システムサイズと比較してデータが豊富 … MSMは速度論的に意味のあるデータセット分析
  • システムサイズと比較してデータが乏しい状況 … MSMを使用して将来のデータ収集を指示=「適応サンプリング(adaptive sampling)」

MSMを実際に行う上での具体的な課題

  • 速度論的に意味のある状態群を定義するスキーム
  • 遷移行列を構築するための、効率的な状態分解の方法

システム = 考えようとしている系。

マイクロステート = 速度論的に意味のある方法で構造データ(コンフォメーション群)をグループ化する。同じマイクロステート内の立体配座は通常、2Åから3Å以下のRMSD[8、21]

RMSD =

一連の速度論的に関連する状態とそれらの間の遷移率を見つけるために、構造データのクラスタリングを行う。
初期は構造メトリックを使用した従来のクラスタリング手法(k-meansまたはk-centersなど)[8]
構造的類似性は速度論的類似性を意味する
ミクロ状態のより大きなマクロ状態への動的クラスタリングを可能にする。
マイクロステート間の動力学的関係を特定するには、遷移行列を構築する必要がある。

ベイズ的手法により適切に選択された事前確率から遷移行列の推定を改善できる[22–24]

実際の遷移行列はスパースである。

粗視化MSM = 結果のモデルを効果的に使用するために(特に人間が理解できる形式でモデルから洞察を得るために)、粗い粒度のMSMを構築したい。→マイクロステート遷移行列をもとにより少ないステート量に単純化する。この時マイクロステートラグタイムよりも長いタイムスケールとなり、速度論的に関連するステートが少なくなる。ミクロ状態遷移行列のある種のスペクトルクラスタリング[25–27]を介して行われます。

初期モデルの改善:適応サンプリング
通常はデータが豊富にはないため、より良い統計的なMSMを改善するためにより多くのMDシミュレーションを実行する。適応サンプリング法は、既存のマクロ状態遷移行列(より具体的にはその要素の統計的不確実性)を使用して、新しいシミュレーションの開始点を割り当ててMSMを改善する。詳細[16、22、28、29]

MSMの自己整合性の検証
細粒度(マイクロステートベース)および粗視化遷移マトリックスの両方で提案されている。Swope –Pitera固有値検定[31]、情報理論的アプローチ[32]、Chapman-Kolmogorov検定[19]、Bayesian Model selectionアプローチ[23]など

単一軌跡的なアプローチではなく包括的・統計的なシミュレーションの利用ツールとしてのパラダイムシフトとなっている。

(200405)内容についてMemoを更新中

‘Application of Olfactory Detection Systems in Sensing Technologies’, H Mitsuno, T Sakurai, R Kanzaki – Insect Sex Pheromone Research and Beyond, 2020


https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-981-15-3082-1_11

Abstract

昆虫は高度な嗅覚検出システムをもち、さまざまな種類の環境中の化学物質を高感度で選択的に検出できます。それらをセンサー技術に実装することを考えたとき、近年、昆虫の嗅覚メカニズムは解明が進みました。この章で報告する、生きている昆虫またはその触角を利用するセンシング技術は、蛾由来の性フェロモンと植物由来の一般的な匂い物質がフィールドで検出できることが示されました。多くの嗅覚受容体がさまざまな昆虫種で確認されており、それぞれ異なる匂い物質に対して異なる応答プロファイルを示しています。遺伝子工学技術の進歩により、これらの嗅覚受容タンパク質を発現システムに再構築して、ニオイセンサーの検知要素として使用することができます。この章では、昆虫における嗅覚のメカニズムを簡単に紹介し、センシング技術におけるそれらのアプリケーションをレビューします。

Memo

From: Google Scholar アラート
Sent: 2020年3月25日(水曜日) 1:42

Hidefumi Mitsuno1
Takeshi Sakurai
2
Ryohei Kanzaki*1
1.Research Center for Advanced Science and TechnologyThe University of TokyoTokyoJapan
2.Faculty of AgricultureTokyo University of AgricultureKanagawaJapan
First Online: 20 March 2020

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