Yan, C.H., Faraji, F., Prajapati, D.P., Ostrander, B.T. and DeConde, A.S. (2020), Self‐reported olfactory loss associates with outpatient clinical course in Covid‐19. Int Forum Allergy Rhinol.. Accepted Author Manuscript. doi:10.1002/alr.22592
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/alr.22592
(注)筆者は医学の専門家ではない。
Abstract(抜粋)
- 疾患初期にCovid-19患者の重症化を予測することは、医療介入(リソース)の効率的な割り当てに役立ちます。自己申告による嗅覚障害はCovid-19の特徴として指摘されており、この重要な予測因子となる可能性があります
- サンディエゴ病院システムにて、Covid-19感染患者を対象にした。2020年3月3日から4月8日までの間のCovid-19疾患陽性だった合計169人の患者。
- 回顧的レビューと、嗅覚・味覚機能と臨床疾患経過の評価との間の統計的な検証を行った(主観的および客観的パラメーター;嗅覚と味覚の症状の有無、加齢、糖尿病、呼吸不全)。単変量および多変量ロジスティック回帰を実施した。
Memo
「UC San Diego Healthの研究者は、感染症の症状として臭いの喪失を報告したCOVID-19患者は、無嗅覚症を報告しない患者よりもコロナウイルスで入院する可能性が10倍少ない。嗅覚障害が生じることをCOVID-19疾患において入院を必要とする可能性のある患者を判断するのに役立つ可能性のある早期の指標だと報告した。調査結果は、2020年4月24日のジャーナルInternational Journal of Allergy&Rhinologyでオンラインで公開された…」としてオンラインニュースに取り上げられている論文である
https://neurosciencenews.com/smell-loss-mild-coronavirus-16261/
「嗅覚の喪失は重症化しないで済む!バイオマーカーなのか?追試を期待しています」等とSNSでも注目されています。
嗅覚喪失について
その他の一次的または恒久的に、嗅覚が機能低下または喪失する原因となることがある因子
- ストレス
- 交通事故などの脳外傷
- アルツハイマー
- 抑うつ状態
嗅覚のメカニズム
- 香気物質
↓ - 香気物質~受容体相互作用
↓ - 嗅覚神経細胞(ORNs)信号
↓ - 刺激情報の統合
↓ - 脳内嗅覚地図との照合
↓ - 知覚・認知
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%97%85%E7%90%83
Retronasal Aroma
味覚と考えられているものの実際には嗅覚がかなり貢献している現象。「食品を直接鼻で嗅いだときに感じられる香りと、飲食中にのどから鼻を抜けて感じられる香りであり、前者はOrthonasal Aroma、後者はRetronasal Aromaと呼ばれています。飲食中に感じる食品の香りは主にRetronasal Aroma」です。
https://www.ogawa.net/study/13_01_01.html
Covid-19感染時に嗅覚障害が出たほうが軽傷で済んでいるのはなぜなのか
(注)ここから先は自分の想像である。
Covid-19ウィルス感染により、ウィルスが増殖する部位についての報告がすでに出ている。嗅粘膜がある部位に増殖することが知られ、PCR検体の採取も鼻腔奥の嗅粘膜付近から採取される。
https://www.nature.com/articles/s41591-020-0868-6
Covid-19感染時に免疫系の応答の速さ・強さには個体差(個人差)があるようである。
個体の免疫系が強く早く応答したほうが、ウィルスの排除は早く行われると考えられる。ただし、ウィルス感染した器官への免疫応答が大きくなり(ここら辺医学的な用語の使い方になっておらず、不正確ですが)、この際に一次的な嗅覚機能のマヒが起こるのではないだろうか?
なお、味覚と嗅覚の喪失とされているが、嗅覚の喪失が、味覚の喪失の症状とされている可能性が結構あるのではないか?
嗅覚のマヒの原因はアルツハイマーなどの脳機能によるものとは異なるメカニズムなのではないか?
以上のように想像してみたのでメモしておく。