Immunocytochemical Localization of Olfactory-signaling Molecules in Human and Rat Spermatozoa, Y Makeyeva, C Nicol, WL Ledger, DK Ryugo – Journal of Histochemistry & …, 2020

https://journals.sagepub.com/doi/10.1369/0022155420939833

Abstract

非嗅覚組織における嗅覚受容体(OR)の発現は、過去20年間に広く報告されています。嗅覚マーカータンパク質(OMP)は、OR、嗅覚Gタンパク質(Golf)、アデニリルシクラーゼ3(AC3)などのよく保存されたコンポーネントによって媒介される嗅覚信号伝達経路に関与し、嗅上皮の成熟した嗅覚ニューロン細胞(mOSN)で高度に発現しています。 OMPは、嗅覚以外の組織で広く発現しており、運動性細胞でみられる傾向があります。 OMPがコンパートメント固有の場所で表現され、OR、Golf、およびAC3とラットの精巣上体およびヒト射精精子で共局在化するという仮説を立てました。免疫細胞化学を使用して、実験的に誘発された活性化モードでOMPとOR6B2(人間のOR、ポジティブな嗅覚制御として機能)の発現パターンを調べ、精子の機能的成熟の段階でタンパク質発現に観察可能な違いがあるかどうかを判断しました。 OMPが人間とラットの精子のコンパートメント固有の場所で表現されたことを発見しました。 OMPは、GolfとAC3でラット精子に、OR6B2ですべての3つの活性化モード(制御、活性化、および過活性化)で共発現され、活性化のモードは、先体反応したヒト精子の共発現パターンを変更しました。これらの観察は、OMPの発現がORを介した化学受容の信頼できる指標であり、異所性に発現したORを特定するために使用でき、ORによるリガンド受容を媒介する(2番目のメッセンジャーシグナル伝達カスケードに寄与している)可能性を示唆しています。

Memo

Olfactory marker protein (OMP);「OMPはシグナル伝達に関与するタンパク質です。すべての脊椎動物の成熟した嗅覚受容体ニューロンに見られる高度に発現された細胞質タンパク質です。 嗅覚信号伝達カスケードのモジュレーターとして働くと考えられている」ref

異種細胞発現などを想定した時、脊椎動物の嗅覚受容体の機能再現は難易度が高いことが知られている。神経信号発生の"代謝的"なメカニズムを機能させることが難しいとされているためである。今回はNon-tissue specificな発現をする、ORである精子で発現する、OR6B2についてOMPの共発現を追跡してみたもの。受容体タンパク質そのものではなく、メカニズムに関与するタンパク質の機能についても研究が進んでいるので勉強したい。

Olfactory marker proteinについて調べたことがなかったので、もう少し調べてみたい。

Non-tissue specificな発現をするORの発見にも寄与が期待されているとある。確かにORのリガンド受容のメカニズムが非嗅覚でもどの程度"代謝的"で、どの程度保存されているものなのかもう少し見てみたい気がする(自分自身でも未調査)