ハイライト
- 11,326人のアイスランド人の嗅覚に関連する変異についてゲノムをスキャンしました
- TAAR5の変異体は、トリメチルアミンを含む魚の臭いの知覚に影響を与えます
- OR6C70およびその他の遺伝子座の変異体は、甘草およびシナモンの匂いに関連しています
- 標準的な嗅覚遺伝子の配列の多様性は、嗅覚の強化につながる可能性があります
Abstractより
人間の嗅覚受容体(OR)遺伝子は、異常に高いDNA配列の多様性を特徴とする特別なクラスを形成し、知覚と行動に違いをもたらすはずです。嗅覚検査に基づくこれまでで最大のゲノムワイド関連研究では、2,204人の別のサンプルで複製を行い、9,122人のアイスランド人が行った匂いの知覚と命名を調査しました。
TAAR5遺伝子型がtrimethylamine、魚の匂いへの嫌悪感に影響を与えています(匂いと心地よさの評価の言語学的記述として反映された)。
- variant in TAAR5 vs reduced intensity fish odor rating(p.Ser95Pro, pcombined = 5.6 × 10−15).
また、以下の2つの匂いの強度知覚と匂い知覚の増加に相関する嗅覚受容体遺伝子座に共通の配列変異体を発見しました。
- licorice odor (trans-anethole: lead variant p.Lys233Asn in OR6C70, pcombined = 8.8 × 10−16 and pcombined = 1.4 × 10−9)
- cinnamon (trans-cinnamaldehyde; intergenic variant rs317787-T, pcombined = 5.0 × 10−17)
今回の報告は、ヒトORレパートリーの変異における許容範囲が大きくなると、機能が低下するのではないかという洞察とは対照的に、TAAR5遺伝子型の変化は人間の匂い反応に影響を与え、標準的なOR遺伝子の配列の多様性が嗅覚能力の強化につながる可能性を示唆します。
Memo
丁寧に読む必要のある論文。この研究コンセプトに必要なコンテンツは
- 参加者(同意付き)、データの取り扱い・セキュリティ確保
- 遺伝的多様性の評価(WGSまたはSNV決定)
- 匂い知覚のテストまたはヒアリング
であり、今回のテストは遺伝的多様性検討の参加人数も多く、研究背景にいる研究者のスケールも大きいようだ。
- 匂い知覚のテストまたはヒアリングには難しさがある
- 多様な匂いに対する知覚を評価しようとするとテストまたはヒアリングが長時間化する
- 普段意識しない匂いの種類に対する知覚を研究しようとするとテストの難易度が上がる(被験者、試験者共に匂いを言語化して意識したことがないと実験精度の確保が難しくなる)
これまでに指摘されている遺伝的多様性が匂いの知覚に変動を与えている例(例としてNewcombの総説)
遺伝的多様性のデータについて
- WGSであれば読みの深さ
- リファレンスパネルの設計の重要性(リファレンスパネルとターゲットの人種が偏りは正しいか?)
- Keggなど公共データベース上の遺伝子・受容体の情報で確認が必要;TAAR5, OR6C70, rs317787-T
Keywords
- Olfaction
- odor perception
- odor naming
- olfactory language
- genome-wide association study
- TAAR5
- trimethylamine
- trans-cinnamaldehyde
- trans-anethole
(詳細を更新するかも。ここまで)