Specific Anosmia Observed for β‐Ionone, but not for α‐Ionone: Significance for Flavor Research – Plotto – 2006

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1750-3841.2006.00047.x

Abstract

脱臭されたオレンジジュースベースをもとに、オレンジフレーバーのしきい値を測定したところ、パネリストの50%が他のパネリストと比較して顕著に、β-イオノンまたはβ-ダマセノンを知覚できないことがわかりました。 β‐イオノンのネイザル/レトロネイザルの閾値は、非感受性パネリストは感受性パネリストよりも985/490倍悪い。 β‐ダマセノンでは、ネイザル/レトロネイザルの閾値は、非感受性パネリストは感受性パネリストよりもそれぞれ690および390倍悪い。 β-イオノンを知覚できなかったパネリストは、テストされたその他の化合物においては正常に知覚できた。 β‐イオノンの構成異性体であるα‐イオノンについては閾値差は見られない。

3つの化合物すべてを同じパネリストを使用して脱臭果汁ではなく水への賦香で再テストしたところ、β‐イオノンのネイザル/レトロネイザルの閾値は、非感受性パネリストは感受性パネリストよりも4900倍と4600倍悪かった。β-ダマセノンについては、「感受性者」または「非感受性者」に分かれるような差異は見られませんでした。

別のパネリスト集団でもβ-イオノンおよびβ-ダマセノンの水への賦香での閾値を確認しました。最初のパネルと同様に別のパネリスト集団内にβ-イオノンでは、「感受性者」または「非感受性者」の間に大きな差が見られましたが、β-ダマセノンに対する感受性に違いは見られませんでした。

Memo

再現性がとれていないようにも思えるかもしれないが、割と繊細な官能評価をさせているようにも思う。

「イオノン(英語 ionone)、別名ヨノン(ドイツ語・オランダ語 Jonon)はテルペノイドの一種である。二重結合の位置が違う3種類の異性体があり、それぞれα-イオノン、β-イオノン、γ-イオノンと呼ばれる。」
「β-ダマセノン1,2

Jaeger, S.R., McRae, J.F., Bava, C.M., Beresford, M.K., Hunter, D., Jia, Y., Chheang, S.L., Jin, D., Peng, M., Gamble, J.C., et al. (2013). A Mendelian trait for olfactory sensitivity affects odor experience and food selection. Curr. Biol. 23, 1601–1605.
「多くの匂いに対する鋭敏さはヒト個体で異なり[1、2、3、4]、嗅覚受容体(OR)遺伝子内の変動がこれらの違いに寄与しています[5、6、7、8、9]。このような変化が匂いの経験や食品の選択にどのように影響するかは、そのような影響が味覚に対して発生することを考えると、不明確なままです[11、12、13、14、15]。ここでは、極端な感度の違いを示すβ-iononeを調査します」
における4

βイオノン(β‐ionone)の感受性にかなりの個人差があることを指摘している。その後のNewcombの報告で遺伝的多様性と相関が示された。この論文ではローズのキー香調であるβ‐damascenoneについては感受性の差異が不確かな結果となっているようだが、本当に感受性の差異があり、遺伝的多様性が原因となっているのであれば面白い。…と思ったが、こののちにNewcombはβ‐iononeについてのみ言及しているので、その興味への裏付けはないままであるように読み取れる。

Methods