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1.1 Motivationに関するメモ
今回の論文では
- Classical fluid → Gibbs Energy (G)とconformation set → MSM model → Gibbs Energy (G)を統合すような自由エネルギー概念については触れられていない
- 粗視化MDについての言及がほしい。
- 理想的に無限サンプリングを行うと分子間親和力が計算可能、についての理論背景(遷移確率行列、反応速度論行列)についての言及がほしい。
今回の話はPELE, Adaptive PELEについての話に比重が置かれている。序論でのまとめを整理して次につなげる。
1.1 Motivationのまとめ
ドッキング~分子ダイナミズム戦略(易) → 分子ドッキング・スコアリング。低親和性リガンドの簡易フィルタリング
。"仮想スクリーニング"=ライブラリーのスクリーニング(Patrick Walters et al.、1998)
ドッキング~分子ダイナミズム戦略(難) → 分子力学(molecular mechanics=MM)メソッド。≒モンテカルロ(MC)シミュレーション≒分子動力学(MD)シミュレーション。タンパク質とリガンド間の化学的相互作用のより詳細な理解を行いたい場合。
ポテンシャル計算
力場とは、原子分解能の(古典的な)力場を使用して、コンフォメーションからポテンシャルを算出・推定する方法。「粒子の系(通常分子および原子)のポテンシャルエネルギーを記述するために用いられる関数の式および媒介変数を意味する。*」
自由エネルギー計算
理想的に無限サンプリングを行うと分子間親和力が計算可能。現実にはシミュレーションは会合~脱会合プロセスの不完全な図しか提供せず、精度の低いアフィニティ推定となる。タンパク質-リガンド系の結合自由エネルギーを迅速かつ正確に予測できる普遍的方法は存在しない。
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有限サンプリングに対する工夫(化学に限定されない方法);拡張サンプリング法。潜在的なエネルギー曲面を考慮する有限サンプリング。
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アンブレラサンプリング(Torrie and Valleau、1977)
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メタダイナミクス(LaioおよびParrinello、2002)
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有限サンプリングに対する工夫(化学の知識をもとにした方法);結合自由エネルギーを推定する手法。いずれの手法もMM法に基づく。どちらのグループも一般に正確な予測を生成します。現在の開発は、マシンパワー増加に支えられて、下記前者2つの課題のギャップを埋めつつある。
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遷移パス解析の方法;会合~脱会合の経路全体を再現する必要があります。
- Alchemical methods ;非物理的な変換によって結合の自由エネルギーを推定し、必要なシミュレーションの量を減らす。
- 特殊な重点サンプリング;シミュレーション時間が短縮されるが、一般的に結果の信頼性確保や複雑な初期設定生成に、理論的な専門知識が必要になる。
前提としての内部エネルギーと自由エネルギーの定義の差
single conformation → internal energy (U)
U+TS → Enthalpy (H)
liquid → Classical fluid → Gibbs Energy (G)
conformation set → MSM model → Gibbs Energy (G)
Classical fluid → Gibbs Energy (G)の過程では連続誘電体モデルなどで代替される。現実の生体分子のシュミレーションでのMDは忌避される。界面のシュミレーションは必要とされる場合がある。
(多分続く)